2025年09月04日一覧

ADV160 : 見積へ行ってきた。

ADV160が描く、二人のこれから

今日は妻と一緒に、ホンダドリーム店へ。目的はADV160の見積もりだった。
二人でバイクの見積もりをしたのは、現役の愛車CBR600RR以来。あのときも特別な瞬間だったが、今回もまた、自分にとっては大きな意味を持っている。ただの「乗り物を買う」ではなく、二人のこれからを少し変えていくきっかけだからだ。

これまで、自分のバイクはレースやワインディングに寄り添っていた。速さを探求し、コーナーを自在に駆け抜けるための相棒。だが、今回選んだのは自動変速のスクーター。理由は明確だった。求めているのは「限界の先」ではなく、「出かけることで出会う何か」だからだ。

商談テーブルでカタログを見ながら、二人で話す。

「燃費、40km/Lってすごいね。今の3倍も走れる」
「それなら、カフェもう一軒寄れるね」
「後ろにバックレストを付ければ、二人乗りも楽になる」
「私も乗りやすいなら……頑張って乗ってみるか」

そのやり取りに、心が少し熱くなった。妻にとってタンデムは決して楽ではない。それでも「やってみよう」と言ってくれることが、自分には何より嬉しい。

見積もりは車両本体のみをお願いした。整備や調整はすべて自分でできるからだ。ただし、それとは別に、妻のための快適装備は用意するつもりだった。バックレストやシートの工夫、リアキャリア。話題の中心は自然と「どうすれば二人で楽しく乗れるか」へと移っていった。

思えば、これまで二人で続けてきたのは、名古屋の街を歩く散歩や、ちょっとしたカフェ巡りだった。バスや電車で移動しながら、気になる店をのぞいたり、ラーメンのイベントを眺めたりするだけで十分に楽しかった。それが今度はスクーターに置き換わる。風を受けながら、二人で少し遠くまで。行き先にあるのは、知らないカフェや小さなケーキ屋かもしれない。

「今までの“バスでのCAFE巡り”を、“バイクのCAFE巡り”に変えてみようか」
「いいね。知らない道を走って、寄り道するのも楽しそう」

CBR600RRは、これからも自分にとって特別な存在であり続ける。けれどADV160は、夫婦の時間を新しい形で広げてくれる。速さや限界を求めるのではなく、笑顔と会話でできた時間を重ねていくための道具だ。

夕方、ショールームを出ると、ガラスに反射する光を眩しそうに見上げる妻の横顔があった。その表情を見て、自分は確信した。今日の選択は小さな一歩に見えるかもしれないが、二人にとっては確かに大きなピボットだ。

ADV160で描くのは、新しい景色ではなく、二人で紡ぐこれからの時間。
彼女の笑顔を作れる移動手段。
それこそが、今の自分にとっての新しい“速さ”なのだ。