音質のある生活

冬眠していたオーディオを起こす朝

スケジュール通りに動きすぎているな、とふと感じる。
「好きなことしかしない生活」になっても、やっぱり週末くらいは休日にしたくなる。
人間には、何も考えずに“チル”に生きる時間が必要だ。

今、目の前にあるのは久しぶりに電源を入れたオーディオ。
写真のこのリビング
朝の光がロールカーテンを透かして、淡く差し込む。
その中で、長く眠っていたシステムがゆっくりと目を覚ます。

電源を入れた瞬間、モニターが光り、スピーカーが「ボッ」と息を吹き返す。
まるで冬眠していたロボットが再起動するような瞬間。
この“少しの手間とドキドキ感”こそ、アナログの醍醐味だと思う。

音が流れ出す。
「ああ、やっぱりクリアでニュートラル」。
MacBook Airのスピーカーも素晴らしいけれど、
やはり大きな径のスピーカーが作り出す空気の揺らぎには敵わない。
音圧が自然に耳に届き、低音が床を伝って身体に響く。
やっぱり音は“大きいスピーカーのほうがいい”。

このオーディオセットは、決して高級ではない。
メインのスピーカー以外は、ハードオフで拾ってきた安価な中古たち。
でも、組み合わせてマイクで音を整えると、不思議と“いい音”になる。
たぶん、完璧じゃないからこそ、愛着が湧くんだと思う。

思えば、自分のオーディオ好きは中学生の頃の影響かもしれない。
父が80年代のオーディオブームに乗って、一つひとつ選んだ機材を並べていた。
10インチのスピーカーから流れるレコードの音に包まれて過ごした時間が、
きっと今も耳の奥に残っている。

今日はその記憶に少しだけ浸りながら、久しぶりに低音を響かせてみよう。
部屋に、音が満ちる。
そして静かに、またひとつの“休日”が始まる。