今回のイメトレのコースはスタートから10m先に回転印のパイロンがあって、それを抜けると縁石があるLの字クランクが待っています。(ロードレースやダートトラックを専攻している人は、パイロンではなく第一コーナーを思い出して良いし、ツーリングライダーは信号が青に変わって10m先を曲がらなければいけないとイメージして下さい。)
Step1
まずスタート前に誰もがすることは、最初のセクションに対して、どの角度からどんなスピードで進入するのか?のイメージだと思います。ほらね、ベテランライダーはもう体が覚えている。アクセルの開け方やブレーキの掛け方を数値で表現しなくても、この間合いの場合は、こんなアクセルの感じで、このタイミングには、こんなブレーキの感じで、イメージするだけで、自然かつ正確に走れる。これは地道な練習で反復運動して覚えた経験による技術ですね。これが①空間記憶による予見に相当します。
Step2
でも実際にコーナーやパイロンの手前に到着した時点で、しまったぁぁ、しくったぁ。こーじゃなかった。もう30cm手前で寝かしこめばスムーズに旋回できたのにとか、10cm外側から入れば、抜けるときに直線的なラインを作り出すことができたのにとか、後で悔するときが多々ありますよね。そんな時はどうしますか?ジムカーナなら無理やり、ハンドルをこじってフロントのラインを修正するもよし。リアブレーキを当てて、リアを基軸に旋回半径を縮めても良いし、実際に何か行動に移します。これが③のアクションとリアクション。
Step3
兎にも角にも最初のセクションはクリアしました。次のセクションへ向かわなければなりません。そのとき、次はLの字クランク(第二コーナー)があるというのは、うる覚えで理解していますが、今走っている位置から、つぎのセクションに対して、軌道修正しないでアクセルを開けて良いのか?判断できません。自分のせいで失敗したラインの途中に居たりしたら、それこそ次のセクションを見ないとベストラインに進むことができません。そのときライダーは何をするのか?それは今走っているラインが正しいのかを判断するために遠くにある次のセクションに視線を送ります。そして開ける。これが②空間認識能力です。
ライダーはこのStep2と3を繰り返ししてゴールに辿りつきます。まず、今走っている直近のセクションに対して視線を送って、抜けるときは次の遠くのセクションを見て把握して、また視線を戻して直近のセクションを攻略する。そうです、そもそもライダーが走るという行為を行うときは、次のセクションを認識するために視線を送って、今攻めている場所に視線を戻すという作業をエンドレスで繰り返しているのです。
それでは、ライダーはどの程度先を見ることが出来て、どの程度近くを見ているのでしょうか?自分が経験と計算から割り出した距離は、次のセクションとしてイメージを頭に残せる範囲がは10~20m程度、ヒョイっと凸凹を避けることができる、判断の最終距離は1~2mとなりました。ここでようやく視力の話に戻ります。
なぜ1.5や2.0の強制視力が必要なのか?
それは、ライダーが走行するロジックが先を見て近くを見て判断するという繰り返しの作業であるため、その視点を切り替えるスピードを速くする必要があり、切り替えには視力が効果的となるからです。近視や乱視でボケていると、1m~15mに対し視点を移すときにラグタイムが生じます。やってみて下さい。確実に遅いです。ボケているものを認識するより、エッジがシャープなものを認識するほうが、速く視点を動かせます。
では視点の切り替えは、どの程度のスピード・時間なのでしようか?1m先にCの文字、15m先にAの文字を置いて、眼球運動だけで追うと、正確には測れていませんが確実にコンマ何秒かは掛かっています。そうです。ジムカーナのような多くのセクションで組み立てられているコースレイアウトであれば、その個数分コンマ何秒も掛けてコース分析に時間を掛けているのです。もしコンマ0.05秒でも速ければ100回しているとしても5秒も速く走れます。すげぇ。
まとめると
自分のように「視力が衰えてるので老眼ですね。」とか言われた人は顕著ですが、普通の人だって、その効果は絶大であると推測されます。そうそう始めに話したけど、ダートトラックレースで勝ち続けたときに、強制視力を1.5(実際は2.0も見えた)まで上げたことは、きっと勝てた理由の1つであり、効果として実際にあったのだと確信しています。
ぜひ、速く走りたいスプリント系のライダーは普段使いの眼がねより、度を上げた眼鏡を作って見て試して下さい。効果はあると思いますよ。そして最近タイムが落ちたなぁとか、反応が鈍くなったとか思っている、Over35のみなさん。ぜひ仕事はOA眼がねで眼を休めて、週末はギンギンの眼で攻めて見てください。めちゃ効果が分かりますよ。
そうそう特にダートコースはジムカーナより半端なく岩や起伏を判断するので効果を体感・実感できます。もしこの強制視力の話がうそだぁと思う人はダートを走って見て下さい。スムーズにワダチを避けてラインを作ることが実感できると思います。自分もダウンヒルのときは大いに役立っていますから。
長くて拙い文章ですが、最後まで読んでくれてありがとう。途中で読み飛ばした人、もう一度読んで見てね。そしてライダーのみなさん、ちょっとでも信じることができた人は、眼がねって最近安いのでやってみてね。
おしまい。
ふぅ・・・。就寝。
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参考資料
◎視力とは/2種類の動体視力
http://www.mizuno.co.jp/card/report/no017/no17.html
◎状況を把握するために/ビジュアルトレーニング
http://www.mizuno.co.jp/card/report/no017/no17_2.html
◎具体的な方法
http://www.mizuno.co.jp/card/report/no017/no17_3.html
「2008年09月」一覧
レースと視力3
前回の定義を簡単にまるっとまめておさらいすると、ライダーが走るときに無意識にしていることは大まかに分けると三つに分類されます。
①空間記憶による予見
ライダーは記憶と経験から空間を予見することでスムーズに走ることが出来る。
②空間認識能力
でも全ての情報は記憶できないので、その都度にチラ見して判断することも多い。
③アクションとリアクション
そこで大切なのは、判断した情報を元にして的確に実行し、間違いは補正すること。
ということで復習をしてスタートです。長文注意(笑)
経験を数多く積んだライダー達が速く走れるのは①空間記憶による予見ができるからでり、過去の豊富な体験から適切な判断を得られるから。しかし経験が浅くとも若い人が速く走れるのは③アクションとリアクションの身体能力にたけているからである。また経験を積んだベテランライダーは③をテクニックでカバーしているので速く走ることができる。
そしてベテランも初心者どちらにも言えるのは①と③で間違った経験が体と頭の中にインプットされているとマシンに対して間違った入力をしてしまうことから遅いと言えます。ハンドルが自然なきっかけで切れるセルフステアに対して、ジムカーナはあえて止めたり、待つのが勿体無いから自分で力を加えてハンドルを切ったりしているからこそ、①と③の経験を正しく見につけているのか?重要なロジックとなります。
ねっ、面白いでしょ。
今回の定義。ちょっと強引だけど、自分のライディングの組立て・分析するときに、客観的にこの三つのメソッドを使って考えるなんていうのも面白い発想ではないでしょうか?これからが本題です。じゃぁ②は?どのように考えるの?ということになる。
実はこれが視力と密接に関係するロジックなのです。
次は実際にライダーが走りを組み立ててるときには、こんな手順で行っているという1つの例を具体的に述べます。そのイメージから紐解いていきましょう。スタート地点を思い出して下さい。
さぁライディングのシュミレーション・イメージ・トレーニングの旅に出発します(笑)
続く