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ライディング理論とは?その3+

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 スナップは我がハイエースについている動いていないタコメーター。前に乗っていた車から取り外して付けたのですが、当時は車種対応していないとメーカー記載に書いてあったので、そのまま無配線で放置(笑)また、長い人生の中で、いつかコントローラブルな車を手に入れることができたなら、シーケンシャルにパワーを繋ぐポイントをLED点灯で教えてくれる、このタコメーターを付けたいなぁなんて思いながらパチリ。
 今日のお話は、以前、いくつか存在するセッティングによって感じる感覚と物理的定理のすれ違いについて溝を埋めてみるという試みをしていたときの記事に、グレートブルーさんから、とても貴重なアドバイスと視点を頂いたので、それについて考えてみたいと思います。
まず、そのときの記事はココで復習。
ライディング理論とは?その3
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-10-16
そして、 グレートブルーさんから頂いた原文にコメントしたいと思います。
はじめまして

フォーク突き出しのことについて検索しててこのページに行き当たりました。
フォーク突き出し時の挙動が一般に言われていることと逆に感じることについて
私の考えを書かせていただきます。

グレートブルー さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
MC_SMILEさんは、前輪加重増加により前輪の動きが実際にはクイックでなくなっていると考えられていますが、私の考えでは、前輪の動きはクイックになっているが、それが返ってバイク全体の旋回挙動を緩慢にさせているという考え方です。以下、どうしてそういうことが起こるかのの説明です。
読んだ結論を先に言うと、確かに。
貴重な視点をプレゼントしていただいてありがとうございます。

トレールが減ると、前輪の直進性が減るので、バンキングしたときに内向陀が付く反応がクイックになります。
内向陀の反応がクイックになるということはバンキング初期から旋回が始まり、その結果生じる遠心力によってバンキングを止める作用が働きバンクの速度が落ちます。

その結果そのバンキング速度とつりあうような速度でしか内向陀も付かなくなります。こうなるとライダーの感覚としては、もっと寝かしたところで速い速度でクルっと回りたいのに、そのバンク角に至る前から前輪が勝手にバランスさせてしまうので、小回りしにくくなったように感じると思います。

なるほど、ライダーがバンクさせるときに、内向陀の作用が早く効くということは
吊り合うように安定をもたらせてしまうのですね。なるほど。
エアライディング(笑)でもイメージできます。
逆にトレールを増やして前輪の直進性を強くすると、バンキングに対して遅れて内向陀が付くため、バンキングを止める作用が弱く、パタッ寝るような感覚になると考えられます。そのまま前輪任せにしているとフラッと内側に倒れるような感じになるので、ライダーが無意識にハンドルを内側に切ってバランスさせる結果、早いバンキングとその後の人為的内向陀によって、パタンと寝てクルっと回るというクイックな動きになると考えられます。
自分は、旋回中のバンキングとステアリングの切れ込み具合は、バランスを見てセッティングをしています。そのバランスという言葉を深堀すると、操舵角がバンクスピードを妨げないように、しかしバンクをしたときには、必要最低限の舵角がついているようにするということ。
「パタンクルッ」の表現は的を得ていて、バンクと操舵角の良いバランスを持ているということは、必然的に操舵角の不足分を更に付ける必要があります。そして舵角をつける時には、エンブレでの減速やブレーキによる減速、遅いからハンドルを引くとか、言葉を借りると、人為的内向陀を意図的にも無意識にも必ずしていますね。確かに。
また、バンキング速度が速いとジャイロ効果によって前輪が切れる速度も速くなるので、ライダーが人為的に舵を切らなくても、バンキング中の内向陀はしっかり付くことも考えられます。

ここは、ジャイロ効果の作用がイメージできないので、「しっかり付く」がうまくイメージできないのです。勉強不足です。速いバンキングが、「しっかり」に結びつく、エアライディングイメージもでてこない。ジャイロ効果を勉強して、更に実車に乗ってイメージしみたいと思います。もっと走る必要性がでてきました。励みになります(笑)
すなわち前輪の動きがクイックであることと、バイク全体の姿勢変化がクイックであることとは別だと言えます。前輪の動きがクイックであるということは、バンクした車体に対して即座に反応して、それ以上倒れないようにバランスさせてしまう作用が強いということでもあるので、すばやく必要なバンク角まで持って行きたいライダーにとっては邪魔をする方向に働くことにもなる訳です。
ありがとう。たしかにそうですね。
旋回イメージには「バランスさせてしまう作用」があるというキーワードは大切ですね。私のライディングの構成にも、しっくり来るので、これからの理論生成時につかわさせて頂こうと思います。
あっ・・時間が・・・会社に行かなくては(笑) 後編は明日に。
続く


ライディング理論とは?その3

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 「ライディング理論とは?」の3話目。暇があれば頭の中でぐるぐるとエアライディング(笑)をしながら考えてみたけれど、思いついたロジック達は自分のイメージの中で、確証性が薄く、なかなか文章にできなかった。
 今回、綴るものも、やはり無理やり感がある。でもこのままほっといたら、いつものように自分自身のレース活動で矛盾と疑問を抱えたままのセッティングとなるので、まずは今思い付く限りのロジックを文章として表現することにしました。
 前置きは置いといて、いくつか存在するセッティングによって感じる感覚と物理的定理のすれ違いについて溝を埋めてみる。好きな人は読んで見てくださいね。
まずは復習から
ライディング理論とは?
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-10-03
ライディング理論とは?その2
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-10-04
今回、考える問題点
>1)ハンドルの切れるスピードとキャスター角
>
> プリロードの調整について説明したときを思い出して欲しい。プリロードによって
>フロントの車高が変わって、ディメンションが変わる。プリロードを締めていくとフ
>ロントのトップブリッジは高い位置になり、キャスターアングルは寝ていくこととな
>る。トレール量が多くなるということは、本来フロントタイヤは直進性が増し、穏や
>かにきれるようになる為、ハンドルの切れるスピードそのものがセッティング変更前
>に比べて、ゆっくりと進むようになるはずである。
> でも違うんです。自分にはフロントの位置を上げるとハンドルの切れるスピードが
>上がっているように感じるのです。それはなぜなのでしょうか?説明を付けたいと思
>います。
 まず、今まで綴った定理を復習してみる。。
 旋回性を増す為にはキャスタートレールを減らす、すなわちフロントフォークを立てれば良い。キャスターアングルを減らすことで、フロントホイールを真っ直ぐにしようとする力は減少する。
 ということは旋回性を増す為には、同じ荷重で、同じスピードで、同じラインで、パイロンに進入する場合、キャスターは立てた方が有利なのでしょうか?
 答えはYES。
 定理的に見ても、それは正しい。全てが同じ条件であるならぱ、確実にフロントホイールを真っ直ぐにしようとする力を減らせるので、旋回しやすくなるはずである。すなわちハンドルを切るスピードも短縮される。短時間でパイロンへ近寄れるようになる効果となるはずである。。
 でも本当に?そのように感じますか?
 繰り返し説明して置いて悪いのだけれど自分は、先述のようにフロントフォークを立てて、キャスタートレールの設定を少なくするだけでは、短時間でコンパクトに曲がれるようになったと感じないし、ステリングが切れるスピードが向上したと感じません。
 みなさんもそう感じないですか?
 その原因について考えてみた。結論から言うと、その1つの答えは「キャスタートレールを変更すると、ディメンションの変化(前後の高低差)が発生する為、前後の荷重バランスに変化が生じる為」と考える。
 キャスタートレールを減らすことで直進する力の成分を減らしても、プリロードや突き出しだけでは、その分フロントの車高が低くなるのでフロントヘビーになり、重量が増してしまう。
 フロントホイールを真っ直ぐにしようとする力は、車重や前に進もうとするバイクのエネルギーがフロントフォークとタイヤを経由して、路面に押し付けようとする力によって増減するので、せっかくキャスタートレールを減らして軽減した直進性が増加してしまうのである。
すなわち、「キャスターを立てた直進性の軽減」と「フロントヘビーになったことによる直進性の増加」のどちらが勝っているのか?で考えなければならない。
 ロードレースのような速度によるエネルギーが、前後のディメンションの荷重の変化より、比較できないくらいにエネルギーが大きいときは、キャスターは立てた方が有利となる。
 しかしジムカーナのパイロンワークのような速度によるエネルギーが小さい場合は、キャスタートレールを減らすことによる旋回性の増加より、ディメンションの変化による影響が大きいのである。
 よって市販されてるライディングテクニックの本の話は、低速なジムカーナレースでは、セオリーが通用しないのであると思う。
 やってみて下さい。
 フロントの突き出し量を15mm程度(できないときは最大に)突き出して(トップブリッジより多く出す)キャスタートレールが減らして見てみる。いつものように8の字をすると、定理的にはフロントを直進させる力が減って、旋回させる力が改善されているはずなのに、ゆっくりと切れていきます。
 それは先述の「同じ荷重かつ同じスピード、同じラインで、パイロンに進入する」ができずに、「キャスターを立てた直進性の軽減」より「フロントヘビーになったことによる直進性の増加」が発生したという定理に基づいた現象であると考えられます。
 では、どうすれば旋回性を高められるのか?
 今よりクイックに旋回したいなら、まずはフロントフォークとフレームの取り付け角度を同じ荷重バランスのままで、立てるように改造して下さい。そりゃ理想的ですが、無理というものですね。
 では、どうすれば旋回性を高められるのか?
 フロントのプリロードを掛けて、フロントから荷重を抜く。結果論ですがキャスタートレールを寝かせです(笑)
 ジムカーナのパイロンワークなどではフロントの旋回性を増す場合は、ロードレース等のライディングマニュアルとは異なるということになります。たぶんね(笑)
 見えた原因をまとめると、サスペンションのセッティングでキャスタートレールを減らして直進性を減らすという行為は、バイクの車重がフロントフォークとタイヤを経由して直進性を増すエネルギーとしても使用されている。だからライディングの一般論である定理を信じてフロントを立てても、パイロンをスムーズに旋回しないのです。
 ジムカーナのパイロンワークには、フロントフォークからタイヤを経由して路面に伝わる力自体を減らす方が、キャスタートレール量を減らすより、大きな効果があるという結論でした。
 あっているのか?間違っているのか?分かりません。
 でも自分が長年抱えていた感覚と一般的なセオリーのギャップが今回まとめて見たことで、かなり埋まったような気がします。少々定理が間違っていようが、自分がマシンの挙動から感じる感覚と、設定方法の指針が、ビシッと一つの線に繋がったことは事実。明日からのセッティングはいっそう迷いがなく楽しいものとなりそうです。
 ぜひ試して見て欲しい。プリロードを全部掛けてパイロンを回ってみる。そして全部抜いて回ってみる。そのときのパイロンワークで体感するステアリングスピード。あなたは自分が組み立てているライディング理論と体感があっていますか?たぶんここで綴ったことも一理あるなぁなんて思えるかもしれませんよ(笑)
長文読んでくれてありがとう。
次はもう1つのギャップの解析です。
参考文献
※定理とは?
学習自由区「定理」より
http://plaza.rakuten.co.jp/gakushujiyuku/9011
※キャスタートレールとは?
ヤマハ キャスタートレールより
http://www2.yamaha-motor.jp/bike-word/word.asp?id=76