フロントのプリロード(その5)

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そして3.ステアレスポンスの変化
 ステアレスポンスを分析するために、理解しておかなければならない二つの物理的な現象、言い換えるとフロントタイヤの「ステアレスポンス = ステアリングが曲がるスピード」は何に起因して変化するのか?を学ばなければなりません。
それはジャイロとトレール。


まずは「ジャイロ」
 ジャイロ効果とは回転する物体が、外側から力を加わえない限り回転の方向を一定に保つ現象のこと。バイクの動作で表現すると、スピードを出すとタイヤの回転は速くなり、それだけ真っ直ぐに進むようになるということ。ここで大切なのは、フロントタイヤを行きたい方向に曲げる為には車速すなわちスピードを遅くすると効果てきであるということ。基本的には、ステアレスポンスを上げたいときにはフロントタイヤの速度を落とせということになります。
そしてもう1つは「トレール」
 下記写真に示すようにフロントフォークから線を引っ張って地面と交差したところと、タイヤが地面と設置しているところとの距離(青色部)を言います。ここの距離が長いことをキャスター角が寝ている(フロントフォークが寝ている)。ここの距離が短いことをキャスター角が立っている(フロントフォークが立っている)と言います。そして、ここの距離が長いときは直進性が増して、ここの距離が短いと直進性が減ります。
 言い換えると、フロントフォークが立っている(キャスター角が少ない)とタイヤは向きを変えやすく、寝ていると(キャスター角が大きい)とタイヤは向きを変えにくいとなります。

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 よってジャイロとトレール(キャスター角)によって、直進性が増減する。なるほどだからハーレーはフロントフォークが寝ていて、SSバイクは立っているのだなと、想像することができますね。
ここで疑問が生じます。っていうか、なぜ?タイヤが回ると直進性に影響するのだろう?本当か?フロントフォークの立ち方で直進性に影響するのだろう?本当か?えらい難しく考えていくと証明ができます。でもぶっちゃけ理解する必要は無いと思います。ここで知っておけば良いのは、そうなるという事実だけ。それらは学者さん達が物理学を研究してで一生賢明、証明したので安心してください(笑)。
 もしどーしても理解したい人がいるならばジャイロキャスターを読んで、これをきっかけにして勉強してみて下さい。
次に進む前に整理します。
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まとめると。
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1)ステアレスポンスを上げたい。
→ スピードを落とせ = ジャイロ効果を減らせ
2)ステアレスポンスを遅くしたい。
→ スピードを上げろ。
3)ステアレスポンスを上げたい。
→ フロントフォークを立てろ = トレール(キャスター角)を減らせ
4)ステアレスポンスを遅くしたい。
→ フロントフォークを寝かせ = トレール(キャスター角)を増やせ
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となります。
 ちなみに下記の絵を見ると分かると思いますが、サスを縮める=フォークを立てるとトレールは少なくなり、サス伸ばすと=フォークが寝てトレールは増えます。おおっ。ということで、ようやく話が戻ります。
図はクリックすると拡大します。
fsus1.png

時間がなかったので、サラッと書きましたが、清書するときに書き直そうっと。
まずは、その1を思い出してください。
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・プリロードを掛けたときのほうがフロントの車高は高くなる。
・プリロードを抜いたときのほうがフロントの車高は低くなる。
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 そうです。ようやく紐解くことができました。なんと!プリロードを調整すると、前後のディメンション(高さ)が変わるので、ステアリングのレスポンスが変化する。すなわち、プリロードを調整をすると、ステアリングのレスポンス(ハンドルが切れるスピード)に影響がでるのです。という結論に至ります。
続く。
復習はココ
フロントのプリロード(その1)
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-06-13
フロントのプリロード(その2)
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-06-18
フロントのプリロード(その3)
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-06-20
フロントのプリロード(その4)
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-06-25
フロントのプリロード(その5)
http://mcandsmile.blog.so-net.ne.jp/2008-06-26